食道外科専門医関連規則 変更のお知らせ
先に行われた理事会(2017年11月19日)で、下記の変更が承認されましたので、ご報告申し上げます。
記
食道外科専門医制度規則施行細則の「本学会食道外科専門医審査のための手術経験一覧」を、赤字の通り変更する。
食道疾患の手術 | 術者の点数 | 手術指導医の点数 | |
---|---|---|---|
1. 食道悪性腫瘍の手術 | 頸部食道切除術* (リンパ節郭清を含む) |
1 | 1 |
胸部食道切除術* (リンパ節郭清を含む) |
1 | 1 | |
下部食道噴門部切除再建術* (下縦郭リンパ節郭清を含む) |
1 | 1 | |
食道再建またはバイパス術(胃,空腸による) | 0.5 | 0.5 | |
食道再建またはバイパス術(結腸による) | 1 | 1 | |
食道バイパス術 (良性疾患によるものを含む) |
0.5 | 0.5 | |
胸部食道癌頸部リンパ節郭清術** | 0.5 | 0.5 | |
頸部食道癌リンパ節郭清術* | 0.5 | 0.5 | |
非開胸食道切除術(食道抜去術) | 0.5 | 0.5 | |
2. 食道良性疾患の手術 | 食道再建またはバイパス術(胃、空腸による) | 0.5 | 0.5 |
食道再建またはバイパス術(結腸による) | 1 | 1 | |
食道良性腫瘍切除術 | 0.5 | 0.5 | |
食道気管支瘻分離術 | 0.5 | 0.5 | |
食道裂孔ヘルニア・逆流性食道炎の手術 | 0.5 | 0.5 | |
食道アカラシアの手術 | 0.5 | 0.5 | |
食道憩室切除術 | 0.5 | 0.5 | |
食道損傷・穿孔修復術 (特発性食道破裂を含む) |
0.5 | 0.5 | |
外科的食道異物除去術 | 0.5 | 0.5 | |
食道瘻造設術 | 0.5 | 0.5 | |
食道周囲膿瘍ドレナージ術 | 0.5 | 0.5 | |
3. その他の手術 | 咽喉頭癌頸部リンパ節郭清術* | 0.5 | 0.5 |
頭頸部癌食道再建術(胃,空腸による) | 0.5 | 0.5 | |
頭頸部癌食道再建術(結腸による) | 1 | 1 |
*:再発例に対するものを含む
**:3領域郭清術の両側頸部リンパ節郭清術(No.104+No.101)を指す。 再発例に対するリンパ節郭清術は片側でもよい。
注:重複癌症例ではいずれか1病名に対する術式のみカウントとする。
注:下縦隔リンパ節郭清とは、110、111および下縦隔の112aoAリンパ節が全て郭清された症例を対象とする。
変更点とその主な理由について
食道外科専門医認定部会部会長 安田 卓司
- 1)「下部食道噴門側切除術*(リンパ節郭清を含む) 1点」→「下部食道切除再建術*(下縦隔リンパ節郭清を含む) 1点」
-
この1~2年、症例経験の多くを接合部癌で申請される新規受験者が増えてきています。しかし、食道外科専門医は胸部食道癌の縦隔郭清を中心とした頸・胸・腹部に亘る過大な侵襲とリスクを伴う食道癌手術を安全かつ質も高く行うための資格審査制度です。その理念から考えますと、ほぼ腹部操作のみで胃癌の噴切に準じた手術は対象外と考えます。これまでも同様の症例に関しては手術所見を検討して認定部会の書類審査で対象外と判断させていただき、追加の症例提出をお願いしてきました。しかし、それがあまりに増えてきていますので、ここで改めて接合部癌でも対象となる症例を周知していただくために変更させていただきました。
「注」をよく確認していただきたいのですが、下縦隔郭清としてNo. 110、111および下縦隔の112aoAリンパ節が郭清されたことが手術術式の図およびその記載内容あるいは郭清LN No.で確認できる症例が条件です。その条件に合う症例を認定部会における資格審査に回すことにいたします。
それと、これまでは切除と再建が別の項目になっていたため下部食道切除と再建で1.5点がカウントされ、胸部食道切除+胃管再建と同じ1.5点になっていました。あまりに点数配分が術式の難易度に比例していないことになります。これまでは接合部癌を手術経験として提出される受験者の割合は少なく、あってもごく一部の症例に限られていました。しかし、近年のように接合部癌症例が主たる経験症例として申請されますと、症例経験の難易度に大きな差が生じることになります。本来の意味の食道外科専門医を育てるため、それを真に目指す先生方にとって公平性を保つために今回下部食道切除+再建術で1点と変更いたしました。
ご理解とご周知の程よろしくお願いいたします。 - 2)食道良性疾患の手術にも「食道再建術(胃、空腸による)」、「食道再建術(結腸による)」、「食道バイパス術」を加える。
- 食道破裂、食道損傷や気道トラブル、あるいは頭頸部癌術後の食道再建術またはバイパス術も少なくなく経験されることと思います。いずれも食道外科医としては経験すべき症例であり、接合部癌症例の点数を下げた分、これを追加することで、これまでの申請者との公平性を維持し、かつ真に食道外科専門医として必要な症例を追加することとしました。
- 3)「注:重複癌症例ではいずれか1病名に対する術式のみカウントとする。」
-
例えば、頸部食道癌と胸部食道癌で咽喉食摘と再建をした際に、「頸部食道切除術(リンパ節郭清を含む)」+「胸部食道切除術(リンパ節郭清を含む)」+「食道再建術」となり、結腸再建をすれば最高3点までカウントできることになります。確かに高難度手術ではあり、部会内でも議論になりました。しかし、頸部―胸部にかけて長径が極端に長い進行食道癌の時にはどのようにカウントするのか? 主座が胸部なら胸部食道癌でカウント・・・? こうなると術式は同じでも、病名でカウントが異なることになってきます。
以上を鑑み、一連の手術術式と認識して、いずれか一つの疾患名に対する術式で最も高い点数の術式でカウントすることとなりました。
以後、ご周知の程お願いいたします。